筆者もそのテストを受けたことがある(筋トレを始めて約1年後)。その時は30点、學さんに負けた。ちょっと悔しかった。學さんに電話すると、
「ああ、あの記憶テストですね。俳優は台詞を覚えるのが仕事ですから、あれぐらいは……」
デイケアの感想を聞くと、
「ぼくは(デュアルタスクの運動の)シナプソロジーと本山式筋トレが効くような気がしています。疲れてしまったが、筋トレを続けてやって感覚神経がつながって脳に刺激が上がるというのが何となく理解できた。やった後でスッキリしたし」
という答えだった。趣味で水墨画を描くという學さんは写真撮影をした認知トレで素晴らしいデッサン力も見せてくれた。弟の圭さんはもっと絵がうまかったという。
「父の知人の画家の所に2人で習いに行っていた時期もありました」
幻視を見る回数が減り、頻繁には見なくなったそうだ。トレーニングを始めて3カ月。効果があらわれたのか。學さんは真剣だ。拙著2冊を読んでくれたらしい。
「あなたは競馬が好きなんですね。私も電話投票で少しやります。中央競馬会の10競馬場を巡って雑誌『優駿』に紀行文を書いたこともあります。今度、競馬場に一緒に行きますか」
筆者がギャンブラーであるのは間違いないが、馬券で儲けたことは数えるほど。しかも、当たったつもりがマークシートを書き間違えて大外れしたボケ体験も何度もしている。學さんに競馬道を教えてもらわねば。(山本朋史)
※週刊朝日 2022年9月23・30日合併号