【大分】先達から学ぶ、企業経営の極意 地元ビジネス紙の人気連載を書籍化
『MY HISTORY 大分の超経済人 18人の道しるべ』(大分合同新聞社GX編集部 弦書房)2200円
二海堂書店(佐伯市) 二階堂衞司社長
大分県の経済界を支えてきた18人の経営者が、自身の半生を語る。
それは決して順風満帆ではなかった。次々に襲いかかる試練、環境変化。どのように捉え、呻吟し乗り越えてきたのだろうか?
そして作り上げた歴史。経営者、企業にとって必要なレジリエンス(適応能力)とは……? 登場するのは、麦焼酎「いいちこ」三和酒類相談役・西太一郎氏、大分銀行元頭取・安藤昭三氏、旅館「亀の井別荘」相談役・中谷健太郎氏ら。珠玉の言葉の数々。これからの経営者に貴重な指針を示す一冊である。
【宮崎】進化するご当地食、初の専門書誕生 目指せ「全国冷や汁サミット」!!
『冷や汁万歳復権!“万能”の伝統食』(外前田孝・日高大介 鉱脈社)1650円
岩切書店(宮崎市) 岩切承自社長
宮崎を代表する伝統食「冷や汁」は、魚の出汁と味噌をベースにした「ぶっかけ飯」。万能の健康食といわれる冷や汁を、過去・現在・未来あらゆる角度から深掘りする。著者は冷や汁アンバサダー(大使)を自称する外前田氏とエバンジェリスト(伝道師)を名乗る日高氏。元地元紙記者と元県庁マンという異色のコンビが、全国の冷や汁文化を訪ね、歴史をひもとき、伝統食復権の可能性を探る。
各地のルポには詳細なレシピも登場。本書の出版を機に「全国冷や汁サミット」開催へと夢をつなぐ。
【鹿児島】埋もれし名著を発掘する醍醐味 執筆は奄美出身の元新聞記者
『新南島雑話の世界』(名越護 南方新社)3080円
楠田書店(奄美市) 楠田哲久社長
幕末・奄美の貴重な生活記録「南島雑話」を現代の人にわかりやすく紹介。薩摩藩士・名越左源太(なごや さげんた)が奄美遠島中(1850~55年)に島で見聞きした、いろんなものの観察や取材をまとめた貴重な記録です。
その当時の奄美の風土・冠婚葬祭から農耕儀礼、自然の生き物、妖怪(ケンムン)等を詳細な図入りで著しました。民俗・博物誌として奄美のことを知るには必読書であり、わかりやすく解説しています。
小生は、先人の教えを、この本からよく引用しています。
【沖縄】沖縄各地の伝承を約千人から取材 琉球王国成立の道程を探る
『琉球王国の真実 ‐琉球三山戦国時代の謎を解く‐』(伊敷賢 琉球歴史伝承研究所)2750円
沖縄県書店商業組合(那覇市) 竹田祐規事務局長
かつて沖縄は琉球王国という一つの国家でした。その時代を知る歴史書は琉球王府によって編纂された『中山世鑑』や『中山世譜』などいわゆる「権力者側からみた歴史」が中心です。
本書は著者の伊敷賢氏が独自に45年間でおよそ1千人に対して聞き取り調査を行い、各地で語り継がれた琉球の歴史を取りまとめた琉球の戦国時代(1187~1609年)に関する民間伝承の研究書。言わば「民衆側からみた歴史」といえるでしょう。
継承された話の多くに、先祖が時代を力強く生き抜いた物語がありました。
(企画・構成/ル・ピック=高鍬真之、青木光)
※週刊朝日 2022年9月23・30日合併号より抜粋