【佐賀】肥前の雄、龍造寺家勃興から鍋島佐賀藩成立までを解明
『龍造寺家と鍋嶋直茂』(市丸昭太郎 佐賀新聞社)1980円
金華堂(佐賀市) 松原良治社長
今から8千年前の佐賀平野には縄文人が、2千年前には吉野ケ里の弥生人が定住し、古来、佐賀県は実り豊かな地でした。
その後、1019年の「刀伊の来寇」を撃退した藤原隆家の末裔・高木氏、桓武天皇をルーツに持つ千葉氏、平将門の反乱を鎮めた藤原秀郷を祖とする龍造寺氏、武内宿禰ゆかりの神代氏、千葉氏の配下になった鍋島氏など、次々と各地から武将がやってきました。
肥前・松浦党を描いた『岸岳城盛衰記』(第一法規出版)などは絶版ですが、本書は佐賀の中世史の良書としておすすめの一冊です。
【長崎】地元タウン誌ならではの丁寧な取材 美麗写真で長崎の魅力を発信中!!
「樂55号」(イーズワークス)1100円
好文堂書店(長崎市) 山下奈々美さん
私の住む町は異国文化が混在しています。そんな町、長崎を紹介した自慢のタウン誌が季刊誌「樂」です。
「長崎を知る、遊ぶ」をコンセプトとして2016年には日本タウン誌・フリーペーパー大賞の有料誌部門で大賞を受賞し、全国的にも高い評価を受けています。
今年3月発売「樂55号」の特集は「坂のまち長崎」。ここに住んでいる人たちの姿を美しい写真で知ることができます。
この一冊で長崎の歴史の奥深さや自然の美しさ、文化の多様性に触れられます。長崎をもっと知ってもらうのにお薦めの一冊です。
【熊本】郷土愛の伝道師が贈る熊本方言本の集大成!!
『まっだしでヨカですか!? 熊本弁コージ苑ファイナル』(工事郎 熊本日日新聞社)1650円
熊文社(熊本市) 長崎晴作社長
これを読みながら感じたのは、なぜ方言が廃れたのかという思いです。本書にあるように3世代同居がほぼなくなり、祖父、祖母との日常会話が途絶え、さらにテレビの普及が一因にあることは論をまちません。しかし東京に出張の折、飛行機なりホテルなりでつい熊本弁が出てしまい、「よかですか?」と問いかけると「よかですよ」と言われた後、「私も九州出身です」と微笑まれ、すごく安心して元気が出るのは私だけではないのでは?
都会にいる多くの熊本出身者や方言好きの方にお読みいただけたらいいなと思います。