『徳島県の廃校跡を訪ねて』(香川清 『徳島県の廃校跡を訪ねて』制作委員会)
『徳島県の廃校跡を訪ねて』(香川清 『徳島県の廃校跡を訪ねて』制作委員会)
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 前回、北海道から東海地区まで東日本エリアの各都道県の“ご当地本”27冊を紹介した大特集。今回は西日本エリアの23冊のうち、四国・九州地方から選りすぐりの12冊を紹介する。地元に密着した地方出版社ならではの良書を、地元書店の“目利き”“カリスマ”書店員、そして社長に1冊限定で選んでもらった。読書の秋にふさわしい好著との出会いがここにある!!

【画像】四国・九州・沖縄地方の“ご当地本”はこちら(全12冊)

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【徳島】僻地教育に捧げた教員人生 その集大成が待望の復刊!!
『徳島県の廃校跡を訪ねて』(香川清 『徳島県の廃校跡を訪ねて』制作委員会)2500円(価格はすべて税込み)
平惣書籍部(阿南市) 八百原勝さん

 徳島県の県南に位置する那賀町相生中学校の元校長、香川清さんが3年もの歳月を費やし、県内の休廃校跡を訪ねた一冊。

 メディアでの露出も多数あり、長らくの期間完売となっていました。著者や書店には復刊希望が多数寄せられる中、かねて親交のあった人たちがその想いを引き継ぎ、この度待望の復刊となりました。

 休廃校した213校の校歌・校訓なども記録されています。たくさんの懐かしい思い出と共に、母校を愛おしく思い、廃校を活用した地域活性化にもつながることを願っています。

【香川】ヤギのイメージが大転換!? 小豆島を舞台にした名エッセー
『カヨと私』(内澤旬子 本の雑誌社)2200円
宮脇書店総本店(高松市) 山下郁夫店長

 著者も大好きだという詩画集『プラテーロとわたし』のプラテーロはロバですが、『カヨと私』のカヨは、小豆島で一緒に暮らす真っ白なヤギです。

 全国的には、小豆島といえばオリーブや瀬戸内国際芸術祭などで知られた観光地ですが、こういった生活もあるのです。犬やを飼うのとは違い、そこには当然厳しさもあります。内澤さんには飼育した豚を食べる『飼い喰い』という著書もあり、読むほうも驚きません。

 しかし本書を読んで、大げさかもしれませんが、生きていくとは何かが、垣間見えた気がしました。

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