『かなしきデブ猫ちゃん
『かなしきデブ猫ちゃん マルのラストダンス』(早見和真・かのうかりん 愛媛新聞社)

【愛媛】地元新聞で3年9カ月好評連載した創作童話シリーズの愛媛版完結編
『かなしきデブ猫ちゃん マルのラストダンス』(早見和真・かのうかりん 愛媛新聞社)1980円
松山堂書店(松山市) 光永和史社長

 愛媛を2度旅したデブのマル。飼い主で相棒のアンナがミュージカルの大舞台で立派に踊る姿を見て「オレも変わりたい。踊りたい!」。

 理想のダンスを見つけ、自身も成長するため、マルは3度目の旅に出る。

 本書は2018年から地元紙で連載された創作童話の第3弾です。著者は松山市で6年間を過ごした小説家・早見和真さんと今治市出身の絵本作家・かのうかりんさん。

 マルの冒険譚を通して、愛媛の名所や文化に光を当て、地元の良い面が余すところなく描かれています。

【高知】高知が生んだ世界的植物学者は来年度NHK朝ドラ「らんまん」のモデル
『花と恋して 牧野富太郎伝』(上村登 高知新聞総合印刷)2200円
冨士書房(高知市) 富田さち店長

 高知県が生んだ偉大な植物学者、牧野富太郎博士の波瀾万丈な生涯が綴られています。

 著者は、牧野博士の素晴らしさは、血が滲むようにして得た自分の植物知識を惜しげもなく大衆に分かち与えられたことと語っています。壽衛(すえ)夫人は13人もの子どもを産み、借金苦にもめげず苦しい暮らしながら献身的に支え続けました。博士は後に発見した笹の新種に、夫人の名からスエコザサと和名をつけています。来年度前期のNHK連続テレビ小説「らんまん」で、愛すべき植物の神様に会えるのが楽しみです。

【福岡】中華圏で1千万部超のセールス 『サハラの歳月』著者の数奇な人生
『三つの名を持つ少女その孤独と愛の記憶』(三毛(サンマウ) 訳/間ふさ子・妹尾加代 石風社)1980円
金修堂書店本店(福岡市)外商部 川口治男部長

 早世した台湾のベストセラー作家の自伝的小説。「三つの名」とは自身のペンネーム、本名、英語名を指す。訳者の間氏は福岡大学の非常勤講師、妹尾氏は台湾の国立台湾師範大学に留学経験を持つ。出版元は、アフガンの地で凶弾に倒れた故・中村哲氏の著作を多数、世に送り出している福岡の書肆である。

 主人公は子供の頃から本の虫。古今東西の名作を読破し、全6巻の『人間の條件』(五味川純平著)も読んでいる。日本と同じ漢字文化圏の台湾に、昭和の日本を感じながら、《品格と心ばえ》を思うことができた。

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