5000件に及ぶ片づけ相談の経験と心理学をもとに作り上げたオリジナルメソッドで、汚部屋に悩む女性たちの「片づけの習慣化」をサポートする西崎彩智(にしざき・さち)さん。募集のたびに満員御礼の講座「家庭力アッププロジェクト®」を主宰する彼女が、片づけられない女性たちのヨモヤマ話や奮闘記を交えながら、リバウンドしない片づけの考え方をお伝えします。
case.30 大切なのは、自分との小さな約束を守り続けること
夫+子ども1人/農業
私が主宰している「家庭力アッププロジェクト®」でサポートをしているのは、「片づけ」ではありません。「片づけの“習慣化”」です。この“習慣化”というのがポイントで、うまく習慣化ができないと、一度家の中が片づいてもまたすぐに汚い家に戻ってしまいます。
習慣化できたという感覚は、実際にコツコツと片づけを進めて体験してみないとわからないかもしれません。今回ご紹介する光代さんが実感したのは、プロジェクトが終了してしばらく経ってからだと話してくれました。
「家がちょっと散らかると、なんだか気になってすぐに片づけるようになりました。きれいになっていないと、気持ち悪いんですよね。これが、片づけが身についたということかなと思いました」
農家で働く光代さんは、再婚を機に一人娘と一緒に3LDKから8DKに引っ越しました。夫との新居は、かつて義父がお客様を呼ぶために建て、主人と兄弟3人で住んでいたことがある家で、とにかく広くて収納もいっぱい。それまで持っていた物を特に整理することなく、そのまま持ってきたと言います。家の中に収まるものの、まったく使われていなかったキッチンには収納が少なく、趣味で集めた益子焼の食器類などは入りきらないような状態。しかたなく他の場所にしまうと、使いたい場所と収納場所が異なり、非効率でした。
「引っ越した当初は農業を手伝わないという話だったので、専業主婦でした。でも、それまでシングルマザーとして忙しく働いていたので、急に『家はあるから、子どものお世話だけどうぞ。でも、お金はあんまりないから節約してね』と言われたような気分。それなのに家事も生活もうまく回っていませんでした」