旧統一教会を長年取材してきたジャーナリストの鈴木エイトさんは、

「『宗教2世』に絞ると、スピリチュアル、陰謀論者などいろいろな2世がこぼれ落ちる。宗教だけではなく、極端な思考を持った親のもとで育った子を救うという観点で問題をとらえるべきだ」

 と前置きしたうえで、

「国は、被害者救済として超党派で進めていけるはず。法改正の前に制度の運営で対応できる面は多いのではないか」

 カルト宗教を取り上げるニュースサイト「やや日刊カルト新聞」総裁の藤倉善郎さんも、旧統一教会と癒着する自民党、創価学会を支持母体とする公明党という二つの政権与党の動きの鈍さを危惧し、

「法律を作らなくても、まずはガイドラインを作り、児童相談所に通知することで対応できる」

 教育現場での取り組みも必要だ。上越教育大学の塚田穂高准教授(宗教学)は、教員志望の学生への講義の中で「宗教2世」について積極的に触れている。

「2世にとって学校は重要な場。教員や友人の理解が2世を孤立させないことにつながる。問題意識を持った人が教員になることの意義は大きい」

 今まさに悩んでいる2世たちのために、各方面で早急な対応が求められている。(編集部・古田真梨子)

AERA 2022年9月5日号より抜粋

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古田真梨子

古田真梨子

AERA記者。朝日新聞社入社後、福島→横浜→東京社会部→週刊朝日編集部を経て現職。 途中、休職して南インド・ベンガル―ルに渡り、家族とともに3年半を過ごしました。 京都出身。中高保健体育教員免許。2児の子育て中。

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