「インド沼」にはまる人たちが増えている。強烈なカオス感に引きつけられているようだ。文化や芸術、食事、美容。魅力の一端を紹介する。AERA 2022年8月29日号の記事を紹介する。
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インド南部のベンガルール(バンガロール)。1年を通して比較的涼しく過ごしやすい気候で、IT(情報技術)企業が集まる都市として知られる。
今年5月、この街で暮らすライターの坂田マルハン美穂さん(56)を訪ねたのは、「日印つなぐインフルエンサー」として活動するユーチューバーのMayoこと人見眞代さん(28)だ。学生時代にインドの公用語ヒンディー語を専攻し、ニューデリーに留学。卒業後は企業に就職したが、インドへの思いを捨てきれず、2017年9月、YouTubeで日本人向けにヒンディー語を教え始めた。
すると、次第にインド人から「ヒンディー語で日本語を教えてほしい」と頼まれるようになり、退職してユーチューバーとしての活動を本格化させた。現在、チャンネル登録者数は170万人を突破している。
そんなMayoさんと坂田さんはSNSで知り合い、意気投合。Mayoさんがベンガルールに到着した翌日から、そろって色鮮やかなサリーや伝統服クルタを着て街に出た。
市内のベンガルールパレスやイスコン寺院といった名所を訪ね、インド料理を食べ、軽やかに踊った。その様子を発信した画面からあふれるのは、華やかで豊かなインドだ。
「『インド沼』にはまっています。大好きなインドのイメージを変えたい」(Mayoさん)
■人口は13億9千万人
不衛生、危険、格差、差別、それらが放つ強烈なカオス感──。一般的なインドのイメージはこんなところかもしれない。それでも「沼」にはまる人がいる。インドの実態と魅力とは、どんなものなのだろうか。
インドは、すべてにおいてスケールが大きい国だ。国土は328万平方キロで日本の約9倍。ヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教、ユダヤ教などいくつもの宗教が同居し、話者1万人以上の言語は121もある。人口は13億9341万人(21年)で、国連が7月に公表した「世界人口予測」によると、早ければ来年にも中国を抜いて世界最多になるという。