「子どもがおうちで食事を取れてないっていう問題には、例えば学校では1学期に1回、身体測定で体重の伸びが分かるわけです。それが下に外れてきたら、何かあるかもしれないとか。これはまだ、これからやる話なので、まあ仮説なんですけど」
また医療に関しても、
「認知症が進行してから治すのは、かなり難しいんです。でも、リスクに陥らないようにすることはできる。そのうちの一つが、歩行速度。歩くスピードが一定より遅くなってくると、やっぱりそのリスクは高まってくるんです」
つまり江戸時代の長屋や、縄文時代の集落のように誰かがウォッチしたり介入する世の中ではないので、データが見守っていく、ウォッチしていくということなんだと思う。
そんな宮田さんのやりたいことのいまのキーワードは「文明開化」だそう。
「産業革命以降は、飢饉(ききん)や災害が起こったりしてきて、アートが発達して、その、『わしは偉い』とか、『世の中がこうだ』じゃ動かなくなってきたんですよね。その次にきたのが経済の力で、お金があれば幸せの可能性を手に入れられますよっていう、貨幣の力で世界をドライブしてきた。 ここから先は、一人一人が生きるっていうことが先にあって、それを重ねて、意図的に社会を作っていくことで大きな変化になっていくんじゃないかな。それを『ヒューマンビーイング』から『ヒューマンコービーイング』って言ってます」
末法(まっぽう)の時代をデータで救う魔法使いの一人が宮田さんであってほしい。
※AERA 2023年1月23日号