
目まぐるしく変化する時代、過去の価値観では通用しない。国の政策も、課題解決の仕方も、働き方も。従来の成功モデルは疑わなければならない。「変える人」はいま何を思い、行動しているのか──。AERA 2022年1月3日-1月10日合併号は、モテクリエイター・ゆうこすさんに話を聞いた。
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真っ赤な天井から、まるいペンダントライトがいくつもぶら下がる。
「外から見た人に、あそこには何があるんだろう?って思ってもらいたくて」
そんな思惑がつまったオフィスの主は、「ゆうこす」こと菅本裕子(27)。インスタグラムやYouTubeなどのSNS総フォロワー数が190万を超える人気インフルエンサーとして、トレンドを生み出してきた。
その活躍はネットでの情報発信にとどまらない。
起業家として、カラーコンタクトレンズやスキンケアブランドを次々にプロデュース。2021年夏にはオフィスを東京・渋谷駅から徒歩3分の場所に移転し、流行のど真ん中にいるが、その根底には、
「狭い世界で1位になりたい」
という野心がある。
ニッチな思いの原体験は、約10年前のアイドル時代にさかのぼる。高校生だったゆうこすは、一世を風靡していたAKB48の姉妹グループ「HKT48」の1期生としてデビュー。そのままアイドル街道を突き進むかと思いきや、大きく変わった環境になじめず、わずか1年で脱退する。

その後は料理の専門学校に通ったり、実家でニート時代を過ごしたり。転機になったのは、講談社が主催するオーディション「ミスiD2016」への出場だった。
「いざミスiDを受けるぞと決めたものの、ニートだった自分には何もない。48グループでは、横並びにされて、他のメンバーと個性がかぶってしまう経験もしました。だから自分ならこれだというニッチな分野で極めたいという思いがあった。何か肩書を作らなきゃと思って、モテとクリエイターをかけ合わせた『モテクリエイター』を考案したんです」