【※ネタバレ注意】以下の内容には、今後放映予定のアニメ、既刊のコミックスのネタバレが含まれます。
『鬼滅の刃』アニメ2期の「無限列車編」「遊郭編」では、鬼たちが太陽の光を恐れている場面が数多く描かれている。最強の鬼・鬼舞辻無惨は太陽克服を目論んでいるが、計画が進まずにいら立つ。無限列車の戦闘に途中から参戦した猗窩座は、あれだけの強さを誇りながら、陽光が差すとに必死に逃亡する。そして遊郭の鬼・堕姫は夜の街に潜むことでしか生きられなかったことを吐露している。逆にいえば、鬼殺隊は「太陽の光」がある昼に戦えば戦闘を有利に運ぶことができるのだが、さまざまな理由から、それを選ばない。なぜ彼らは不利な条件のもと、夜の闇で戦うのだろうか?
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■炭治郎のセリフから生まれる“疑問”
『鬼滅の刃』無限列車編で、炎柱・煉獄杏寿郎(れんごく・きょうじゅろう)は200人もの乗客を守りきり、鬼の上位実力者である猗窩座(あかざ)を追いつめた。ギリギリの攻防の中、猗窩座は朝日を恐れ、煉獄の死を見届けられぬままに、その場を逃走しようとする。そんな猗窩座に、炭治郎はこんな言葉を投げつけた。
<逃げるな卑怯者!! 逃げるなァ!!! いつだって鬼殺隊はお前らに有利な闇の中で戦ってるんだ!!>(竈門炭治郎/8巻・第65話「誰の勝ちか」)
このセリフを聞いて、多くの人は疑問に思ったのではないか。なぜ鬼殺隊は夜に戦うのか。鬼殺隊が不利な状況での戦いを受け入れるのはどういう理由なのだろうか、と。
■太陽を恐れる鬼たち
もともと、煉獄と炭治郎たちが討伐に向かった敵は、「下弦の壱」の鬼・魘夢(えんむ)だった。だが魘夢だけでは、炎柱を撃破することが難しいと判断したのだろう。鬼の総領・鬼舞辻無惨(きぶつじ・むざん)は、急きょ、近くにいた猗窩座を援護に向かわせることにした。
だが鬼たちの想像以上に煉獄は強かった。時間に“制約”のある猗窩座は、無惨の命令を完遂せずに逃走することになる。猗窩座は煉獄との戦闘の前に、他の特殊任務があったため、現場に到着できたのが「夜明け近く」だったからだ。