ところが、ハーフタイムを挟んで試合の流れが一転する。後半開始直後、ラックサイドをがら空きにしてしまう防御のすきを突かれてトライを許した。2分後にも相手22メートルライン内からボールを繋がれると、14分に3連続となるトライを奪われる。これで21-24と逆転された。しかし、ここで明治は浮き足立たず、逆に集中した。21分、まずPGで同点とすると、5分後にラインアウトからFW、バックス一体となったムーブでSO伊藤耕太郎(2年、國學院栃木)が抜け出し、身体の強さを発揮して勝ち越しのトライを奪った。さらに、明治が再三見せるバックラインの一番外側にフランカーが位置する攻撃で相手陣深くまで進み、FB雲山弘貴(4年、報徳学園)のキックをWTB齊藤誉哉(3年、桐生第一)がインゴールで押さえてトライを追加。さらにPGも決めて39-24とし、終わってみれば15点差の快勝だった。
両校が相まみえる決勝の試合登録メンバーでは、帝京大の細木キャプテンが先発に戻ってきた。また、今シーズンの対抗戦では全試合にFBでフル出場した二村莞司(3年、京都成章)が負傷から復帰して今大会初出場。対抗戦の中盤から準決勝まで6試合連続で先発していた高本とむ(2年、東福岡)に代わってWTBで出場する。一方、明治大は対抗戦の早明戦や選手権4回戦の天理大戦、準々決勝の早稲田大戦に先発した1年生のフランカー木戸大士郎(常翔学園)が再び先発に名を連ねた。準決勝で途中退場した石田も含め、他の先発14人は準々決勝以降不動の顔ぶれ。身長192センチの大型センター児玉樹(4年、秋田工)もインパクトプレーヤーとしてリザーブに控えている。
決勝で勝利の行方を大きく左右する要素は、まずスクラムだ。帝京大も明治大もスクラムで相手を圧倒することで試合の主導権を握り、勝ち上がってきた。特に、関西の雄で強いスクラムに定評がある京産大に押し勝った帝京のスクラムは強力だ。要となるプロップのポジションにキャプテンが復帰することも心強い。対抗戦での対戦でも、帝京大が試合開始直後に得た最初の自ボールのスクラムを押してめくりあげるなど明治大を圧倒。その勢いに乗って前半に2トライを奪い、勝利している。以降の約7週間で、この力関係が変化しているか。
一方、スクラムが強いと言っても、両校ともに決してFW一辺倒のチームではない。ボールを動かす中で、狙ったテンポで攻撃を継続するためのカギとなるのがブレイクダウン(タックル後のボール争奪局面)での攻防だ。明治大は準決勝で東海大の1を大きく上回る5つのターンオーバー(相手ボール奪取)を記録。相手にペースをつかませなかった。