1月3日にぼたんが、翌4日に勸玄が、それぞれ舞台初日を迎えた。はる役の二人が〝一番の見どころ〟と語るのが、星の存在を信じようとしない大人たちに対して、「あの煙の向こう側を誰か見たのですか?」と必死で反論するこのシーン。勸玄は、歌舞伎独特の抑揚のある台詞回しをよく通る高い声で披露した (撮影/品田裕美)
1月3日にぼたんが、翌4日に勸玄が、それぞれ舞台初日を迎えた。はる役の二人が〝一番の見どころ〟と語るのが、星の存在を信じようとしない大人たちに対して、「あの煙の向こう側を誰か見たのですか?」と必死で反論するこのシーン。勸玄は、歌舞伎独特の抑揚のある台詞回しをよく通る高い声で披露した (撮影/品田裕美)

 今の話は子どもたちにはしてないですよ。これは自分で感じることですから、あえて言うことではないと思います。

──長女のぼたんちゃん、長男の勸玄くんが交互出演でルビッチを演じます。

 歌舞伎での役名は、ともに「はる」。でも演出や台詞は子どもに応じて変えます。10歳にしては整った芝居ができるぼたんと、自分の感性に忠実に生きている勸玄。役者として、それぞれに魅力があると思います。

 今回、二人は同じ役をやるうえでライバル関係にあるんです。稽古に入るまでは、「勸玄には負けません」「お姉ちゃまには負けません」ってよく言いあっていました。

 今、勸玄には焦りがあるんだと思います。お姉ちゃんが市川ぼたんとして舞踊を評価されたり、ドラマに出演したりするなか、勸玄はまだ襲名ができていない。自分もやるんだという闘志がマグマのようにたまっている状況です。だからこの舞台で、彼の爆発力に期待したいと思ってます。

──子どもたちが自分と同じ「役者の道」を歩むなか、子育てで意識していることは?

 私自身は、伝統文化のど真ん中でひっぱたかれながら育ちました。箱入り息子のなかの箱入りみたいな感じで、マスに入れられて。それで16歳くらいでマスからポンと離れて自由に演じてみなさいと言われたとき、できなかったんですよ。そんな自分が許せなかった。

 ぼたんと勸玄にはマスの中の折り目正しいことだけでなく、自分の気持ちで台詞をしゃべる、自分の発想で行動することを学ばせたいと思ってます。だから、二人のやりたいことは邪魔しない。

 たとえば勸玄はゲームが好きで朝から晩まで遊んでるんですけど、全くとめません。むしろ「死ぬほどやれ」と。だから勸玄は、よく疲れ果ててゲーム機を持ったまま寝ています。

 2カ月前、3人でマリオカートをやったんですよ。まあ私が大人げなく圧倒的な1位なんですけど、ぼたんが私に追随して2位で、勸玄はゲーマーなのにずいぶん下手だった。「勸玄、得意じゃないゲームはこんなに下手なんだな」って話をしました。

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