写真はイメージです(Getty Images)
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 岡野さんの元を訪れた相談者の中には、「2年にわたって妻から無視されている」という夫もいたという。その妻から原因を聞くと、「過去に育児や家事を手伝ってくれなかった」と何年も前のことがきっかけとなり、ある日突然何もかもが嫌になり、夫を無視し始めたそうだ。

 (2)の後天的にモラハラ気質になるタイプは、夫並みか、夫以上に稼ぎがあり、いつの間にか夫を自分より下に見ている妻が多いという。高学歴であることが多く、有名大学を卒業し、大手企業で男性と肩を並べて頑張ってここまできたという自負があるタイプがなりやすい。冒頭のCさんは「自分はこのタイプかもしれない」と悩む。

 優秀で器用であるがゆえに、自分より器用ではない夫に対して厳しく接しがちな妻。前出の高草木さんは、女性が男性と対等に働いていく上で、「強くならざるを得ない社会の構造もある」としながらも、「妻が夫に自分のルールを押し付け過ぎて破綻してしまう夫婦は増えている」と指摘する。

「職場では常に冷静で、仕事ができるバリキャリ妻ほど、周囲から面倒見がよく常識的だと思われることが多い。ですが身内に対しては、感情を抑えられなくなってヒステリックになりやすい傾向もあります。こうした妻は、まさか自分の発言が夫を苦しめているとは思っていないことも多い。Cさんのように自分で『モラハラかも』と気づけたら、早い段階で脱却できる可能性も高い」

 だが、Cさんのように「モラハラをしているかもしれない」と気づけない人が多いからこそ、事態が深刻化している。パートナーのモラハラに悩む被害者も実は、本当の脱却が難しいという。次回は、モラハラ気質の男性から逃れられず苦しむ女性のケースを紹介する。(松岡かすみ)

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