夫の仕事の進め方を見るにつれ、イライラして黙っていられない。最初のころは夫も「頑張るよ」「そんなに言わなくても」と反応していたが、妻と同じ空間で仕事がしづらくなり、近所のカフェに出向いて仕事するようになった。家事は相変わらずCさんの負担度合いが多いまま。次第に「私の方が忙しいんだから、もっと家事を手伝って当然でしょ」という、これまでに感じなかった不満が膨らんでいったという。
「夫が働いている姿を初めて実際に目にして、正直なところ『私の方が何倍も仕事ができる』と思ってしまった自分がいます。それに伴って、家庭内の夫の見え方が変わってきた部分もある。これ以上言うと良くないと分かっていても、部下に接するように、つい夫に対して強く言ってしまう自分がいます」
Cさんはいまも自分の言動に悩んでいる。
◆モラハラ行為をしてしまう妻・4つのタイプ
夫婦問題カウンセラーの高草木陽光さんによれば、モラハラ行動に出る妻は、大きく4つのタイプに分けられるという。
【上司型】
夫の話すことに、ことごとく否定的な言葉を投げかける。家事や育児に協力的な夫に対しても、一気にやる気が失せてしまうようなダメ出しをする。夫の発言や行動に共感したり賛同することは滅多にないが、マイナス要素を探し出しては意見してくる。自分流のルールがあり、そのルールから外れたことをするのを極端に嫌がる。否定的な言葉を発することが癖になっている人が多く、「だって」「でも」「ていうか」といった言葉を多用する傾向にあるという。一見、自分に自信があるように思われがちだが、幼少の頃から常に親に高レベルを求められて育った人が多く、自分自身に対し、人並みではなかなかOKを出すことができない人もいる。Cさんはこのタイプだろう。
【GPS型】
常に夫の行動を把握していないと気が済まず、不安になると思いもよらない過激な行動をとる。「いつ、どこで、誰と、何をした」ということを知りたがり、仕事中でも構わず電話やラインをしてくる。夫の財布やカバンをチェックするのは当たり前。夫の行動を把握し、管理することが“妻の愛”であり、夫が事細かに自分の身の回りで起きたことや会った人のことを報告してくれることが“夫の愛”であると信じているタイプだ。人に嫌われることを恐怖に感じるため、「人からどう見られているか」ということを非常に気にする傾向にあり、自分軸より他人軸中心で物事を考えがちなため、人の意見に流されやすい。