1月10日にあった、さいたま市の大宮開成中学校の試験。1教室あたり約30人とし、コロナ禍前の試験より10人ほど減らしているという
1月10日にあった、さいたま市の大宮開成中学校の試験。1教室あたり約30人とし、コロナ禍前の試験より10人ほど減らしているという
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 中学受験の真っただ中だ。地域によってはすでに合否の結果が出ている。東京・神奈川の私立校は2月1日から。親は子どもにどんな言葉をかければいいのか。AERA 2022年1月31日号の記事を紹介する。


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 中学受験シーズンが本格的に幕を開けた1月中旬。中学受験のプロ家庭教師集団「名門指導会」代表の西村則康さんのもとに、一本の相談の電話が入った。


 普段はどちらかというと、元気でやんちゃな、“緊張感”とはほど遠い感じの男の子。そんな子が数日前から、「心配だ」「緊張している」と家で言い始めたのだという。それに対し、「どのように声かけをすればいいのか」と悩んだ保護者からの電話だった。西村さんは言う。


「ミスを防ぐ、点数を稼ぐ、といったことに対しては、あまり執着していない子どもでした。そんな子が『緊張する』と口にするようになったということは、受験を自分ごととして捉えられるようになった、ということ。これはとてもいいことなんだ、とまず親御さんに伝えました。そのうえで、『適度な緊張感がある方が点数を取れるから、やっと本物の受験生になったんだね、嬉しい』と言葉をかけてください、と伝えました」


■「ちゃんとやった?」は×


 西村さんによると、こうした相談の電話が入るのは、受験直前期が最も多いという。子どもの時間に対する感覚は大人とは異なる。大人なら、数カ月前から試験当日を想像し、ときに焦り、緊張もする。だが、子どもの場合は、試験の数日前に突然緊張が始まる、というパターンも少なくないという。子どもへの声かけはどうすればいいのか。


 西村さんが勧めるのは、「~すれば大丈夫」と、最後に「大丈夫」をつける声かけだ。例えば、「しっかり問題文を読めばあなたは大丈夫」「今から試験当日まで、一つ一つ丁寧に取り組めば大丈夫」。親の焦りを悟られないよう意識しながら、強気で伝えてみる。


「具体的な行動に結びつくアドバイスを一つだけ伝えることも大切です」と、西村さんは言う。「計算問題でミスをしないように」と伝えるべき子もいれば、「問題文を最後まで読もう」と伝えるべき子もいる。

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