制作した漢字パズルを手にする馬場雄二さん。中央の「島」の中に白い道のように見えるのがすべて漢字。この道のような模様の中から、全学年で学習した漢字を一つ一つ探していくパズル(写真/写真部・高野楓菜)
制作した漢字パズルを手にする馬場雄二さん。中央の「島」の中に白い道のように見えるのがすべて漢字。この道のような模様の中から、全学年で学習した漢字を一つ一つ探していくパズル(写真/写真部・高野楓菜)
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 いま、脳トレや物忘れ防止として漢字パズルがシニアに人気だ。そんなパズルを、御年84歳にして“解く”のではなく“考案”し続けている人がいる。ビジュアルデザイナーの馬場雄二さんだ。

【解いてみよう!】馬場さん考案の新しい漢字パズルはこちら

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 デザイナーとして長野オリンピックのデザイン検討委員長をつとめ、さらに「目玉マーク」でおなじみのフジサンケイグループの統一ロゴタイプをディレクションした経歴を持つ馬場さんは、パズル考案の第一人者でもある。これまで新聞やテレビ、雑誌で5000問以上のパズルを発表し、テレビ番組「世界一受けたい授業」(日本テレビ系)などにも漢字パズルの第一人者として出演している。

 2021年11月にも、新作『漢字のナンプレ』(朝日新聞出版)を上梓。そんな馬場さんのアイデアの源、パズル制作への思いなどについて聞いた。

■100作品以上のパズルやゲームを制作

 これまで漢字を使ったパズルの本やボードゲームを100作品以上、半世紀に渡り世に送り出してきました。中でも、漢字の「偏」と「つくり」を組み合わせて遊ぶゲーム『漢字博士』は、ミリオンセラーとなり、多くの人に楽しんでいただきました。

「漢字などの文字やデザインを遊びの視点から創作・研究すること」これは私が子どもの頃から一貫して取り組んできたテーマです。

 1938(昭和13)年、長野県上田市で生まれ、子どもの頃から野球が大好きでした。とはいえ、当時は野球の道具など簡単に手に入る時代ではありませんでしたから、ボールからすべて自分で手作り。ボールは真ん中に丸い石を入れて布でぐるぐる巻いて縫うんですが、石が中心からズレてしまうと、投げたときに変な回転をしたりゆらゆらと揺れるなど予想外の動きをしてしまう。野球の道具としては完全に失敗作なんですが、私は「これは面白い!」と思いましてね。このボール作りが、私がデザインというものに興味を持つきっかけになりました。

 一方、漢字はどうかといえば、実は学校の漢字の授業は大嫌いだったんです。書き順からはじまり、「木偏は跳ねちゃいけない」とか、「手偏は跳ねなきゃバツ」とか。学校で習う漢字の勉強は記憶の強制でしたから、ちっとも面白くなかった。授業中は先生の話は聞かずにじっと漢字を眺めていたんですが、おかげで漢字の持つデザインの面白さに気づくことができたんです。だから、漢字に興味を持ったのは退屈な授業のおかげ(笑い)。

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新パズルのアイデアはどのように生まれる?