昔、「3年B組金八先生」というテレビドラマのなかで、武田鉄矢さん(金八先生)が「『人』という字は、人と人とが支え合っている」という話をしたじゃないですか。最近、ご自身で「あれは間違いでした。単に立っている人間を横から見たものでした」と否定されていたようですけど、私は最初の武田さんの説のほうがずっと面白いと思います。
諸説の中のどれが正解というのではなく、そういう面白みを感じられたほうがいいですし、漢字が楽しくなると思いませんか。
■アイデアは「面白いもの」の組み合わせで生まれることが多い
こうして、漢字とデザインの世界にどっぷりと浸かっていくわけですが、漢字の面白さを多くの人に知ってもらいたいとの思いで、本やゲームを出したり、新聞や雑誌の連載などをしてきました。漢字パズルを作るときに一番大切にしているのは、自分が面白いと思って作った漢字のパズルを同じように他の人にも面白いと感じてもらえるかという点です。
以前、朝日新聞の日曜版で「馬場雄二のデザインQ」という連載をしていたんですが、休刊で私の連載も終了してしまうと、たくさんの読者の方々から「やめないでほしい」というハガキをいただきました。編集部に3000通もハガキが来たそうで、これほど多くの人が、「面白い」と思ってくれていたんだなと逆に自信になりましたね。読者ハガキは今でも大切に保管しています。
漢字パズルなど、「どうすれば発想が生まれるんですか?」と聞かれることがあります。私は面白いと思うものを“組み合わせる”ことが多いですね。たとえば、今回の『漢字のナンプレ』もそうですが、パズルの中でも常に人気のある代表的な2つともいえる「ナンプレ」と「漢字」の組み合わせです。ナンプレとは、数字を使ったパズルゲームの一種ですが、『漢字のナンプレ』は、マスにその画数の漢字を配置して熟語を見つけ出すパズルです。語彙力をアップし、楽しく脳活することが期待できます。