他にも漢字と地図やジグソーパズル、カルタなどと組み合わせるなど、「これを組み合わせたら面白いだろうな」と、今でもよく考えています。大切なのは「面白そうだ」「楽しそうだ」と思える野次馬精神。普段から移動中でも街なかでも、面白そうなものに出合ったらスマホで写真を撮って記録するようにしています。
■私の最高傑作は「次作です」
高齢になっても、元気に活動を続けていく源となるのは、体力と気力(意欲)です。私の場合、パソコンに向かって仕事をすることが多いので、足の筋肉の衰えはあります。シニア向けの筋トレのジムには通っていますが、80歳を過ぎても、年齢には関係ないというものの、なかなか筋肉をつけるのは難しいですね。
食事は、あまりグルメじゃないので美味しいものへのこだわりはないんです。お腹が空いていれば何でも美味しいですからね。だから食事は体力を維持するための薬みたいなもんだと思って食べています。
あと、脳トレに妻と一緒にやっているのが、トランプゲームの神経衰弱。ただし、52枚全部使うのは夫婦2人では大変なので、20枚だけにして毎晩やっています。記憶力のレベルに合わせて、枚数を変えることもできるので脳の衰えが心配な方におすすめですよ。
体力的な衰えはあっても、気力はまだまだ衰えてはいません。80歳を過ぎても「次はどんな新作をつくろうか?」と、いつも考えていますよ。特に何歳まで続けたいとか、目標があるわけではないんですが、この気力が衰えてきたら、自分で仕事を制御するんじゃないかと、自然にまかせるようにしています。
これまで、たくさんのパズルを作ってきて「ご自身の最高傑作はなんですか?」とよく聞かれるんですが、「次の作品です」とお答えします。次作こそが私の代表作になる。そんな意欲を持って、今でも仕事に取り組んでいます。
(取材・文/山下隆)
ばば・ゆうじ/東京藝術大学大学院修了(第1期生)。ビジュアルデザイナー・東北芸術工科大学名誉教授。文字やデザインを遊びの視点から創作・研究するとともに、フジサンケイグループ、NEC、西武百貨店、学研などのCIディレクション、グラフィック、商品開発などを手掛ける。世界カレンダー賞(USA)金賞、ザ・トリック展優秀賞、東京発明展特別賞、おもちゃ大賞、グッドデザイン賞、白川静漢字教育賞特別賞受賞。「世界一受けたい授業」(日本テレビ系)などテレビ出演多数。長野冬季五輪デザイン検討委員長を務めた。近著に『パズルの達人が新しく考案 語彙力を鍛えて楽しく脳活! 漢字のナンプレ』(朝日新聞出版)など。