羽生結弦(27)
羽生結弦(27)

「僕にとって平昌五輪までが小さい頃から描いていた夢であり、目標でした。ただ今、僕には挑んでいる技があり、そして3連覇という権利を有しているのは僕しかいない。夢の続きをしっかりと描いて、また違った強さで五輪に臨みたいと思います」

 羽生にとって北京五輪は、勝つことだけが目的ではない。4回転アクセルという“高い頂”を見上げているのだ。

 羽生が4回転アクセルに挑み始めたのは平昌五輪後。平昌でも、試合が終わりエキシビションまでの期間に、飛距離のあるトリプルアクセルを何度も練習し、意欲をみなぎらせていた。

 しかしこの4回転アクセルは、想像を絶する怪物だった。

「正直、平昌五輪の次のシーズンには降りられると思っていました。それくらいアクセルには自信がありましたし、4回転半というものがそんなに大変だという自覚をしていませんでした。ただ集中してやればやるほどけががつきまとい、また4回転以降を回ることがどれだけ大変かを痛感したこの4年でした」

■回ることで精いっぱい

 トリプルアクセルの延長だと考え、飛距離のあるアクセルを跳ぶというアプローチからスタート。しかし空中での移動距離が長いと、回転が遅れることから方針を転換した。2019~20年シーズンは、飛距離よりも高さを稼ぐアプローチに。19年12月のグランプリ(GP)ファイナルでは、初めて公式の場で練習した。スピードを落とし、全身のバネを使って高く舞い上がるような跳躍で、4回転と4分の1を回ってみせた。

「色々なことをやりましたが、スピードをつけて跳ぶと頭から落ちる可能性もありますし、回転がかからないんです。現状は回ることで精いっぱい。今回は身体が動いているからいけるかなと思ったのですが出来なかったので、色々と模索し、身体を作りながらやっていきたいです」

 20~21年シーズンは肉体改造に走った。20年12月の全日本選手権に現れた羽生は、明らかに胸板が厚くなり、脚も一回り成長。21年3月の世界選手権での初挑戦に向けて練習を重ねたが、完成は間に合わなかった。

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