ジャンプ週間は年末年始恒例の大会で、五輪や世界選手権と同等かそれ以上の権威がある大会といわれる。国際スキージャーナリストの岩瀬孝文氏がこう語る。
「小林君はヨーロッパではMLBの大谷翔平クラスのスーパースターです。金メダル濃厚ですが、北京のジャンプ台を飛んだことはない。とにかく緊張しないで飛んでほしい。微妙な踏み切りの角度や太陽の光、そしてどこから風が吹いてくるかがポイントになる」
ただ、心配なのはコンディションだ。ジャンプ週間後のW杯では小林が4戦連続で表彰台を逃し(その後、1月29日の第18戦で優勝、30日の第19戦は4位)、個人総合優勝争いもカール・ガイガー(ドイツ)にかわされ、2位に後退している。コロナ禍の影響で、昨年11月のW杯開幕から一度も帰国せずに欧州各地を転戦する日本勢にとって、本番までは心身共に踏ん張りどきだ。小林も報道陣に「疲れましたね」と漏らしたというが、師匠・葛西氏に金メダルをかけてあげるという目標のため、本番までには戻してくるはずだ。
女子は3度目の五輪イヤーを迎えた高梨沙羅(25)が悲願の金メダルへ再び挑む。自身のジャンプをすべて見直す覚悟で臨んだ4年間の成果を見せられるか。
「ほかが強くなりすぎ、ライバルが多い。中でもマリタ・クラマー(オーストリア)が金の最有力候補。ほかにもカタリナ・アルトハウス(ドイツ)など強豪ぞろいで、大混戦は確実。高梨にもチャンスはある」(岩瀬氏)
フリースタイル男子モーグルは文字どおり「一騎打ち」。平昌金でW杯通算71勝のミカエル・キングズベリー(カナダ)と、今季開幕から全試合で表彰台を確保し3勝をマークした堀島行真(24)が雌雄を決する。堀島について岩瀬氏は「スピードがあるので切れがあるセカンドジャンプができる」。折山氏は「金の可能性もあるし、表彰台は間違いない。滑りが上手でターンが安定している」と太鼓判を押す。