羽生が勝つには、「4回転アクセルを成功させ、何らかの動揺を誘うしかない。いかにアクセルを決めるかが勝負のカギとなる」(佐野氏)。フィギュアスケートを始め冬季五輪の取材歴が豊富なスポーツライターの折山淑美氏も同様の見解で、「一騎打ちだが、このところの結果を見るとチェンのほうがちょっとリードしている。羽生は4回転アクセルを完璧に演技して互角に戦える」と語る。

 平昌大会ではけがによるブランクで約4カ月ぶりの演技ながら、完璧に滑り切って頂点に立つという“奇跡”を見せた羽生。ここぞという舞台での勝負強さは計り知れないものがある。どんなドラマを見せてくれるか、しかと見届けたい。

 羽生だけでなく、平昌大会銀の宇野昌磨(24)や、初出場の鍵山優真(18)もメダルの有力候補。宇野は現在、トリノ五輪銀のステファン・ランビエル氏の指導を受けている。「4回転を5本決めれば、基礎点が高い宇野にチャンスがある」(折山氏)。鍵山も「かなりの逸材。ジャンプ一つひとつの完成度が高く、メダルに食い込む可能性は十分」(佐野氏)と予想する。

ダイナミックなジャンプが持ち味の坂本花織
ダイナミックなジャンプが持ち味の坂本花織

 一方、女子はカミラ・ワリエワ(15)らロシア勢の実力が図抜けており、表彰台を独占する可能性が高い。坂本花織(21)、樋口新葉(21)、河辺愛菜(17)の3人は「入賞クラス」(折山氏)との見方もあるが、勝負はやってみるまでわからない。日本勢の奮起に期待したい。

 スピードスケートも男女共に複数のメダルが期待される種目。女子の最大の目玉は、日本選手団主将の高木美帆(27)が5種目でメダルを獲得できるかだ。前出の橋本氏は、高木をこう絶賛する。「私と似たオールラウンダーで、とてつもなくタフ。5種目出場は半端なく疲労するでしょうが、高木さんは全部強いから種目を絞りようがない。1000メートル、1500メートル、チームパシュートの三つは金を取れるでしょう。500メートル、3000メートルも有望です」

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