「ホームランを打つのがオレのビジネス。今37歳だが、まだ2年はバリバリ働ける自信があるんだ」と豪語したマニエルだったが、2年間守備に就いていなかったツケが回り、下半身の衰えが急速に進んでいた。
打球はフェンス手前で失速し、本塁打も12本止まり。満塁の走者一掃の左中間シングルヒットという珍プレーを演じるなど、走塁、守備でももたつき、前年2位のチームも4位に沈んだ。
この結果、球団側は2年目の契約を残して解雇を通告したが、マニエルは「契約は契約。チームがオレを必要としないなら、(翌年は)シーズンが終わるまでファームにいる」と突っぱね、交渉は平行線を辿る。
翌年1月下旬、ようやく退団が決まったが、どのような条件で納得させたかについては、「ノーコメント」(球団関係者)。いずれにしても、高い授業料になったようだ。
昨年限りでソフトバンクを退団したウラディミール・バレンティンも2年契約ながら、ほとんど働けなかった。過去の実績は本当にアテにならない。(文・久保田龍雄)
●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2021」(野球文明叢書)。