ショートでは1位につけたワリエワ
ショートでは1位につけたワリエワ

 さらに米国のニューヨークタイムズはワリエワ選手の検体から検出された薬物は「トリメタジジン」を含めて3種類あり、禁止物質ではないが、心臓病の治療薬としても使用されている「ハイボキセン」と「L-カルニチン」と報じた。この3つを組み合わせることで、持久力や酸素利用効率がより向上するようだ。

 ストックホルムの検査機関の報告を受け、RUSADAはワリエワを一時的な資格停止処分としたが、ワリエワは9日に不服申し立てをし、その日に処分を解除された。これを不服とした国際オリンピック委員会(IOC)、国際スケート連盟(ISU)、世界反ドーピング機関(WADA)などがCASに提訴していた。

 スペインのスポーツ紙「マルカ」は、ワリエワ選手の母親と弁護士は「彼女の体内で見つかった低レベルのトリメタジジンは、クリスマスの日に、心臓の薬を服用している祖父とグラスをシェアしたことが原因の可能性がある」と説明したと報じた。

「仮に、ワリエワさんが祖父のクスリを誤って飲んだしまったという報道が真実だとしたら、自身の不注意だったというのを認めたことになりますので、もう出場資格がないですよねという話になってしまいます」

 真偽のほどはわからないが、不服申し立てをしていることからワリエワは「意図的なドーピング違反ではない」と主張していると思われる。過失ならば、許されるのだろうか。

「過去の処罰や制裁の例では、“うっかり”が認められなくて処分されています。人間はウソをつけます。意図的にやりましたと言うより、『いや、うっかりしていました』と言ったほうがイメージがいい。摘発する側も、意図的だったという証拠を見つけて立証するというのはすごく難しいことなので、”うっかり”であっても処分をするというのが必要になってくるんです」

 そもそも、五輪で競技に出場できたのは暫定的な措置でしかない。ワリエワが女子シングルに出場できるか否かはCASの判断に託されていたが14日、CASは出場を認める裁定を下した。一方で、陽性反応や団体戦の結果については別途検証するとしており、 “グレーな決着”と、世界中で物議をかもした。

 CASが今回、ワリエワの出場を認めた理由は、WADAの規定で、法的能力が十分ではない16歳未満の「要保護者」であることだった。本来ならば、長期の資格停止処分となる違反であっても、期間が短くなることや、資格停止を伴わない「けん責」となることもある。

 大峰氏はこう指摘する。

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CASの根拠は苦しい