そもそも、トップアスリートが競技に取り組むこと自体が健康にいいこととは限らない。
「スノーボードで金メダリストとなった平野歩夢選手は、空中でのワザは『命がけで挑んでいる』とも発言していましたね。競技によっては、危険も伴う。フィギュアスケートの選手だって、ジャンプを繰り返すために足腰を痛める方も多い。トップアスリートというのは心身の限界のところでやっているので、時には健康を害する場合がある。それと比較してドーピングのほうが絶対的に健康に悪いかとういと、何とも言い難い。健康を論拠としていくとどうしても行き詰まりが出るというのがドーピング問題の難しいところです」
ならば、なぜドーピング違反は「悪」なのか。個人的な見解として次のように話した。
「ドーピングありの試合に合意する未来が到来すれば、結論は変わってくるかもしれません。しかし、現時点において、選手を含め私達はドーピングのない試合に合意し、その実現を目指しているためです」
ワリエワのドーピング疑惑は混沌とした状態が続きそうだ。(AERAdot.編集部 上田耕司)