東京医科歯科大
東京医科歯科大

 どういうことか。

 実は、土井院長は名門国立大である東京医科歯科大の出身。19年に副院長として災害医療センターにやってきて、20年に院長になった。現場からのたたき上げではなく、院内では「落下傘院長」とも言われる。前院長も東京医科歯科大の出身で、2代連続で落下傘院長となっている。

 こうした落下傘院長の体制になってから、各診療科のトップが“医科歯科”化されてきた経緯がある。この数年の間に5つの診療科の医長・部長は医科歯科の出身者となり、もともと勤めていた他大学出身の医長らは退職に追い込まれたという。

 そして昨年、診療科Aの医師を東京医科歯科大の医師に置き換える動きがあるという話が、病院外の複数の医師らから、診療科Aの医師のもとにもたらされるようになった。その話を聞いた医師は「これ以上ここにいても先はない」などと考え、辞職に追い込まれたという。先の医師はこう嘆く。

「診療科Aの医師の大量離職に伴い、患者や周辺病院から不安の声があがっています。また、結果的に病院の収益は大幅に下がり、経営的に大打撃になっている」

 問題はこれだけではない。院長によるハラスメントの問題も起こっている。複数の関係者の話によると、診療科Aに残った1人の医師には、院長室で「診療科Aの医師を1週間で集めろ」「できないなら、(院長の母校)東京医科歯科大学から連れてくる」と恫喝するように発言したという。「1週間では無理だ」と伝えても、取り合ってもらえなかった。

 また、驚くべきことに、昨年、院内で男性職員2人による盗撮問題が起きている。その際、土井院長は男性職員を擁護する立場をとり、「(盗撮に追い込んだ)女性主任も悪い」「女性主任が辞めればいい」などと盗撮の被害者でもあった女性側を責める発言をしていたことが女性主任の耳に入る事態になった。男性には盗撮行為について厳重注意がなされただけで終わったという。

 NHO本部の対応はどうなっているのか。昨年6月、2人の医師がこれらの院長のハラスメント行為について内部通報を行った。しかし、組織の対応は鈍く、しばらく音沙汰はなかった。内部通報から3カ月もたった9月になると急きょ、本部の下部組織である関東信越グループが医師2人にヒアリングを始めたという。

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院長の発言は「ハラスメントではない」と認定