専門家はどうみるか。キヤノングローバル戦略研究所の松山幸弘研究主幹は、こう問題視する。
「看護師や医師が大量に退職し、パワハラの訴えもあるところなどを見ると、院長によるガバナンスが機能していないのは明らか。内部管理上の問題で国民の命が危険にさらされるなど問題外の話です。そのような人物を配置し続けているNHOと、所管の厚労省の責任は重い」
さらに、今後のコロナ対策についてもこう課題を指摘する。
「NHOだけではなく、JCHOもそうだが、これまでのコロナ対応を見ている限り、『自分たちがセーフティネットのラストリゾート(最後の拠り所)』という使命感があるとは思えない。総理官邸が主導して、NHOやJCHOなどの公立医療機関にコロナ病床を集約する体制を整えないと、感染拡大するたびに医療ひっ迫する事態が繰り返されるでしょう」
国立病院機構は、その本来の役割を果たせるのか。改めて問われている。
(AERAdot.編集部 吉崎洋夫)
●国立病院機構からの回答全文
クルーズ船の対応から戻ってきた職員について「敷地内に入れるな」と発言したのか、コロナ患者の受け入れ制限をしたのか、救命センターの受け入れ制限をしたのか、『患者は実際に入れず、パフォーマンスとして用意しておけばよい』と発言したのか、などの質問に対して
新型コロナウイルス感染症対応に積極的に取り組むという考えは国立病院機構として当初から一貫しており、それぞれの病院の機能や状況に応じた様々な工夫を凝らして病床確保や医療従事者派遣等に取り組んできております。
こうした国立病院機構の取組は、従来から各方面で高い評価を頂いております。先般(令和4年2月9日)厚生労働大臣から求めがあった東京都及び大阪府に新増設する臨時の医療施設への医療人材派遣についても、国立病院機構各病院も新型コロナウイルス感染症対応で厳しい状況の中、2月中旬から3月末日まで看護師延べ76人、薬剤師延べ15人を派遣することとし、後藤厚生労働大臣から「感染が非常に厳しい中で、協力をいただいていることに対し、本当に心から感謝を申し上げたい」とのご発言をいただいております。