結果は11月に入ると通知された。「一週間で集めろ」発言については、「院長の姿勢は一方的過ぎる、一定の配慮が欠けていたと言える」と認めたが、「ハラスメントとはいえない」などとされた。
また、「辞めればいい」発言については「女性主任の管理能力がないという話を幹部間でしていたのは調査の結果推測できるが、退職させたいという不当な目的があったとまでは確認できなかった」「院長などが意見を持ち、議論し合うことは問題ないが、職員にその理由がわからない形で間接的に伝わる状況はあってならない」「女性主任の労働環境が害されている可能性は否定できない」などとしながらも、「ハラスメントとして認定しない」となった。
病院関係者はこういう。
「NHO側の判断は、当事者がハラスメントと感じたことはすべて否定、院長寄りの裁定になっていたと院内では不満の声が多数あがりました」
●背景に院長の定年延長も?
ハラスメント問題はその後、驚くべき展開を迎える。土井院長は今年3月で定年退職を迎える予定だったが、NHO本部は土井院長に対して「来年度の勤務延長を予定している」と内々に伝えたという。院内にその情報が漏れると、職員からNHO本部の理事長らに宛てて、院長退任の嘆願書が出されるなど現場から反発の声があがった。先の関係者はこう見る。
「3カ月も放置されていたハラスメントの通報が急に動き始めたのは、院長の勤務延長を決めるためと言われている。NHO本部には現場から何度も院長の問題が報告されており、本部も問題は把握している。それにもかかわらず院長寄りの対応なのは、東京医科歯科大との関係があるからなのでしょう。医科歯科大から医師を派遣してもらう条件として、院長を置いているのではないか。もはや本部もガバナンスが効いていない」
実はNHOはこれまでもコロナ禍で問題を指摘されてきた経緯がある。
NHOは、同じく独立行政法人である地域医療機能推進機構(JCHO、尾身茂理事長)とともに、多額のコロナ関連の補助金を受けながらも多くが利益に計上され、コロナ対策に有効に使われていなかった問題が財務省に指摘されている。