林:テレビは?
佐藤:見ないです、ほとんど。
林:人と会ったりしないとボケるって言うじゃないですか。
佐藤:うん、ボケますね。もう大分きてます。
林:でも先生、ぜんぜんボケてなんかいませんよ。
佐藤:昔の話をしてるから。難しいことを覚えてるわけじゃないし。
林:お料理はご自分で?
佐藤:夕方にお手伝いの人が帰るから、そのあとは自分でね。食べたあとの茶わんも洗ってます。
林:ちょっと寂しいな、なんて思ったりしないですか。
佐藤:いや、気楽でいいな、と思いますよ。一人が好きなんです。わがまま者は一人がいちばんいいわ。気に障ることがないから。
林:断捨離なんて、「フン!」って感じですか。
佐藤:わりとケチだから、捨てるのはイヤですね。
林:私の母が先生の年のときは、もう寝たきりでしたよ。101歳まで生きましたけど、「バチが当たって長生きした」とか言って。
佐藤:ほんとに、私もバチが当たったと思う。生きてるだけで、なんにもできないもの。101歳は大変ねえ。「ご苦労さま」と言いたいわ。98でもヘトヘトなのに。
林:でも、このあいだまで書いてらしたって、本当にすごいです。
佐藤:書くったって、あなたみたいにいろいろ取材するわけじゃないし。相変わらず忙しく跳びはねていらっしゃるでしょ。一体いつお書きになるの?
林:合間合間ですね。対談の時間まで書いて、近くの出版社に持っていくとか、そういう離れ業をやりながら生きてます。
佐藤:私も昔は、飛行機の中とかテレビ局の待合室とか、いたるところで書かないと間に合わなかったわ。でも、あなたはそれ以外にもいろいろやってるでしょう。なんでそんなに体力があるの?
林:すごく食べます。
佐藤:やっぱり食べなきゃダメね。
林:先生、きょうはお一人ですけど、秘書の方はいないんですか。
佐藤:いませんよ、うちは秘書なんて。これまでもそう。
林:電話のご対応なんかは……。
佐藤:自分で出てますよ。