林:「眞子さんのことどう思いますか。コメントください」とか、ああいう取材の電話は面倒くさいという感じですか。

佐藤:いや、面白いですよ、からかうと(笑)。アメリカで、野球ですごく打ってる人がいるでしょう。

林:大谷翔平選手ですね。

佐藤:このあいだ、「大谷さんのお嫁さん、どんな人がいいと思いますか」って電話がかかってきたから「こたつでミカンの皮をむきながらしゃべるようなことを言うほど私はヒマじゃない」って言ったの。「そのとおり書いていいですか」って言うから、「いいですよ。どうぞ」って言ったんだけど、ボツになってましたね(笑)。

林:先生、先日雑誌に眞子さんのことをお書きになっていましたね。でも、先生のお考えからすると、あまり皇室にはご興味をお持ちでないのかと思っていました。

佐藤:そんなことはないですよ。私たちの世代というのはね、「天皇陛下は神」という思想を子どもの頃からしみこむように教えられてきましたからね。小学校の教科書の「我ら国民九千万は天皇陛下を神とも仰ぎ、親とも慕いてお仕え申す」って文言、今でもすらすら出てきます。

林:ええ。

佐藤:今の人はそういう教育を受けていないから、皇室に対して非常に冷静に見ることができるけど、私たちの世代は、しみこんでます。とくに私、昭和の天皇陛下をとても懐かしく思うのよ。いま、皇室のことについて、みんな論理的に話すけれど、懐かしいとか、情緒的に皇室のことを思うのは、我々の世代が最後なんじゃないかしら。

林:ああ、そうかもしれませんね。

佐藤:思い出すのは戦後、1年もたたないうちにメーデーがあったの。そのときに共産党の人が、「朕はタラフク食ってるぞ」と書いたプラカードを掲げて歩いた、というのを新聞で読んだんです。そのとき私は、本当にもう愕然としましてね。たしかに、当時の国民は、食べるものもなくて、敗戦国のいちばんみじめな時代を経験していたんですよ。だけど、それまでの日本人だったら、「我々は食べなくても、天皇陛下は食べていらっしゃるだろうか」と心配していた。それが、戦争に負けると同時に、考え方がひっくり返ってしまったんです。痛切に敗戦を感じたときでした。

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