いまの40代は、昭和的な価値観を持つ親たちに育てられた世代だ。当時は、多様なキャリアプランを描くことができず、職業選択の幅も広くはなかった。
「道が少ないため、上に進むためには勉強するしかない。自ずと学歴社会が形成されていったわけです。この時代の価値観をもとに育てられてきた人たちがいま10代の子どもを持つ親となっている。中学受験が過熱傾向にあるのも、学歴信仰から逃れられない一部の親御さんがより過激化している、という側面があると思います」
実際、首都圏の私立・国立中学校受験生は、15年から年々増加の一途をたどる。親たちは自らスマホなどで情報収集ができるようになり、ニュースサイトで「中学受験者数が過去最多を記録」「小1から塾が満席」といった文字を連日のように目にする。そこに、周囲からの同調圧力が加わる。「これはやらなければいけないことなのではないか」と感じるようになる親たちが多いのだという。(ライター・古谷ゆう子)
※AERA 2022年2月28日号より抜粋