東京都文京区の東京大学で行われた大学入学共通テスト。コロナ禍で感染不安も抱えながら、多くの受験生が試験に臨んだ
東京都文京区の東京大学で行われた大学入学共通テスト。コロナ禍で感染不安も抱えながら、多くの受験生が試験に臨んだ
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 受験シーズンが最終盤を迎えている。受験や学歴なんかに人生を決められてたまるか。そう思ってはいても、翻弄されてしまう。どうしたら学歴信仰から自由になれるのか。AERA 2022年2月28日号の記事を紹介する。

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 今年の入試シーズンには驚くべき事件が起きた。

 1月15日、大学入学共通テストが始まろうとするその時、東京大学弥生キャンパス前の路上で高校2年の少年が、受験生2人と70代の男性を切り付けた。殺人未遂容疑で現行犯逮捕された少年は「医者になるため東大を目指したが、約1年前から成績が上がらず、自信をなくした」「医者になれないなら自殺しよう、人を殺して罪悪感を背負って切腹しようと考えた」と話したという。

 その大学入学共通テストでは、問題流出という事件も明るみに出た。受験生である女子大学生がカンニング目的で、問題の画像を試験会場から外部に送信。東大生が解答を返信していた。

 いずれも、「学歴」という言葉の持つ重みを意識せざるを得ない。もちろん事件は極端な形でそれが表出したものであり、一般化はできないが、いまも受験生たちが受験で人生が決まってしまうというほどの大きなプレッシャーを背負って生きていることを感じさせられた。

■昭和的価値で育った親

 社会に出れば、「学歴」だけで人生が決まるなんてことはない。それは、ひとたび仕事を始めれば多くの人が感じることだろう。それでも、学歴をまったく意識することなく生きていくことは難しい。親たちが持つ学歴意識は、子どもたちに伝播し重くのしかかる。

 2016年から「ママカフェ」を主宰し、これまで1万人を超える母親たちの相談ごとに耳を傾けてきた教育専門家の石田勝紀さん(53)は言う。

「世の中には多様な学び方、さまざまな生き方があることはみなさんわかっていて、学歴に対するこだわりもひと昔前ほどではない、と感じます。ただ、『子どもの個性を尊重したい』と口にするものの、頭の中には依然、消すことのできない学歴意識が残っている。40代から50代にかけては、とくにそれが顕著だと思います」

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