「相続の対象となる資産の中でも、素人が価値評価をしづらい貴金属や骨董品は“争族”の火種となりがちです」(同)
値がつくようなモノがある家庭は、親にそれらのリスト化もお願いする。価値のわかる人に渡ればと生前整理をする人もいるが、そこまでしないなら、鑑定に出してもらえば安心だ。
財産の相続以外の「死後事務手続き」は多岐にわたる。まず、クレジットカードは必要最低限に。携帯電話会社や水道光熱費の明細、年金・保険関連の書類は「あのタンスの2段目の引き出しね!」というように、1カ所にまとめてもらう。
パソコンやSNSなど現代ならではのチェックポイントも忘れずに。親が登録で使ったメールアドレスを知っておくだけでも、役立つことはある。
田村さんは、大切な「お見送り」について、こうも言う。
「葬儀の内容や参列者、埋葬の方法は、存命中にご本人の意向を明確にしておかないと、遺族が悩むことになります」
コロナ禍で会いにくいからこそ、今からでもリモートで、時間をかけて徐々に親の意向を聞き出そう。(金融ジャーナリスト・大西洋平、編集部・中島晶子)
※AERA 2022年2月28日号より抜粋