丸2年が経つコロナ禍で、人との接点が減ることに慣れてしまった。それは自分の親も例外ではないかもしれない。親が亡くなると、相続や死後事務などの手続きは膨大だ。AERA2022年2月28日号では、リモート終活について取材した。
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親の他界は予想だにしない事態を引き起こすこともある。だからこそ、親の終活を一緒に支援しておきたい。
じつは離れた場所で暮らしていても、親の終活を遠隔でサポートすることは可能だ。名付けて「リモート終活」。親と子どもで協力しながら、遠隔でも今すぐ始めたい、確認しておきたいことを41のリストにしてまとめた。
どれも「遺言書作成」や「生前贈与」など本格的な作業に入る前段階の内容だ。これらをはっきりさせておくだけで、あなたの将来の負担は軽くなる。コロナ禍で会えないが、リモート環境下でもチェックしておきたい項目となっている。
「さすがにこれはやってくれているでしょ」と過信しないことが大切だ。あなたの親が几帳面でも、実はたいした終活はしていないと思ったほうがいい。
「出生地」がわからない
こんなケースもあった。
「夫の母が異物を喉に詰まらせて他界し、相続の手続きのために戸籍謄本が必要になりました。ところが、義母は過去に本籍を何度か移していたうえ、その詳細を義父も把握しておらず、出生地が不明だったのです。東北のどこか……というだけ。役所に問い合わせてもなかなか辿り着けず、費用を払って司法書士に調べてもらいました」
神奈川県在住の48歳女性が突然の義母の死を、そう振り返る。
最低限、親の正確な出生地は存命中にきちんと確認しておきたい。ちなみに、この女性の場合、戸籍がすべて揃ったところで驚愕の事実が発覚した。
「義母は離婚歴があったことを隠して義父と結婚したうえ、年齢を八つサバ読みしていたのです。そのことを今さら知った義父は激怒していました」
両親ともに健在なら、終活の際に「二次相続」のことも念頭に置くべきだ。どちらかが先立てば、やがてもう一人もその後を追い、二度の相続を経験することになる。東京都在住の50歳男性は、わずか1年のうちに父母を相次いで亡くした。