「ここ数年のマイナス分を取り戻すには即効性ある策が求められる。大きな柱と考えられたのが広告収入です。地上波放送はなくなってもDAZN等の配信を通じて巨人戦を見る人は多い。時代に即した形での広告出稿を提案すれば広告がこれまで以上に集まるはず。外野席上のメインビジョン拡張などはそのためでしょう」(大手広告代理店関係者)
試合中の演出にも活用できるが主となるのは広告掲載。これからは動画広告や数企業の広告を交代で掲載することも可能になる。球場内最大規模のスペースのため企業側としても旨味は大きく、金額が上がっても出稿を希望する企業は多いという。配信中心となれば地上波のようにCM提供企業に気を使う必要もなく写り込みを増やすことなども可能だ。
また、改修は他の狙いも感じられる。
「従来の立ち見スペースに個室型スイート席を新設するなど、客単価が上がることが期待されている。また立ち見席がなくなれば、立ち見席券の客が内野席等へ入り込むことを防ぐために割いていたスタッフも必要がなくなり人員削減にも着手できる」(大手広告代理店関係者)
各種デジタル化とともに大きく報道されたのが、多様な観戦スタイルに対応できる新設された座席だ。テーブル、モニター付きで充電用電源を備えた4人定員の個室スタイル席なども登場。法人向けスイートエリアもフルリニューアルされバーカウンタースタイル席もできた。プレミア席が増え収益が高まるとともに個室席などが増えたことで蜜状態を避けコロナ対策にもつながる。
「コロナ禍が収束してもしばらくは観客動員での苦戦が予想される。平日とはいえ改修後初戦だった西武戦の観客動員は8708人。少な過ぎるとも感じるが想定内の数字だった。新席種以外の席に関しては従来のままで『席間隔が狭くて不自由』という声も多かったが改修されていない。満員になる試合は少ないという予測があるからでしょう」(巨人担当記者)
今季から観客数の上限は撤廃する方針で、西武戦もチケット販売時は観客数の制限は公開されていなかったが、コロナ禍前の水準には遠く及んでいない。そんな中でも巨人は改修によって収益が上がるよう取り組んでいる最中だ。