今年は、東大の一般入試の志願者数9507人に対し、2996人が合格した。女子の割合は昨年20%に乗せたが、今年は19・8%と再び2割を切った。
藤垣裕子副学長は10日のオンライン記者会見で、
「女子の志願者数の割合は過去4年間で過去最高で、喜ばしいと思っている。合格者数は推薦など含む全体の割合でも数字を落としたが、引き続きジェンダーバランスの取れた多様性のあるキャンパスづくりをしていきたい」と述べた。
河合塾の分析によると、今年は2次試験の英語、数学、国語で問題量が増え、出題傾向も従来と異なるなど難化したという。同塾教育研究開発本部の近藤治・主席研究員はこう話す。
「私たちの調査では、今年の合格最低点は2001年以降で最も低い。大学入学共通テストの難化も理由の一つでしょうが、受験生は試験の難易度に2度とまどったのではないでしょうか」
では東大の合格者数ランキングを見てみよう。
1位は開成(東京)で191人。41年連続1位が濃厚だ。灘は92人。聖光学院が91人で昨年から12人増えた。西大和学園(奈良)は3人増の79人だったが、注目は現役合格が61人いたこと。
教育ジャーナリストの神戸悟さんはこう話す。
「現役の合格者数は、灘の62人に肉薄しています。灘に追いつけ追い越せで、ここ10年ほどで進学実績を伸ばしていて、京大合格者も多い。灘に並ぶ関西の雄になりつつある」
昨年、合格者数を伸ばした公立校は今年も健闘した。日比谷(東京)はほぼ横ばいの62人。横浜翠嵐(神奈川)も1人増の51人だった。
「首都圏の高校は傾向的に既卒生になっての再挑戦を恐れない。共通テストの平均点が低くても、昨年の大躍進を見ているので、ひるまず挑めたのでしょう。今後もこの勢いを維持するのではないでしょうか」(神戸さん)
京大では北野(大阪)が5年連続1位だが、東日本の公立校の合格者も目立つ。浜松北(静岡)や西(東京)、県立浦和(埼玉)、国立(東京)、日比谷がいずれも二けたの合格者を出した。
「昨年はコロナ禍で移動を控え、一人暮らしに二の足を踏んだりと、東から京大、西から東大という選択肢には消極的な傾向がありましたが、そうした傾向が落ち着いてきたと思います」(近藤さん)