22歳のヘンドリックスは、ロシア勢が席捲してきたヨーロッパでも、その確かな技術で存在感を示してきた。今年1月に行われたヨーロッパ選手権のショートでは、ロシア勢に割って入る2位につけている(総合4位)。北京五輪ではショート・フリーの両方でミスが出てしまったが、世界選手権ではミスのない滑りを期待したい。体が軽い10代の選手が活躍する女子シングルにおいて、ヘンドリックスの成熟した滑りは一味違う魅力を放つ。正確な技術と、大きくリンクを使う滑り、情感あふれる表現は必見だ。

 フィギュアスケートも不穏な世界情勢と無縁ではないことを痛感する世界選手権となったが、その中でも全力を尽くす各国のスケーターの滑りを、しっかりと見届けたい。(文・沢田聡子)

●沢田聡子/1972年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。シンクロナイズドスイミング、アイスホッケー、フィギュアスケート、ヨガ等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。「SATOKO’s arena」

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