北京五輪では7位だったアリサ・リウ
北京五輪では7位だったアリサ・リウ
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 3月21日からフランス・モンペリエで開催されるフィギュアスケートの世界選手権に、ロシアとベラルーシの選手は参加することができない。

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 ロシアは2月24日からウクライナ侵攻を開始し、ベラルーシはそれを支援している。そのため国際オリンピック委員会 (IOC)は両国の選手・役員を国際大会から除外するよう各競技の国際連盟に勧告しており、国際スケート連盟(ISU)もそれに従った。

 フィギュアスケート大国であるロシアは、特に近年の女子シングルでは圧倒的な強さをみせてきた。2月に行われた北京五輪でもアンナ・シェルバコワが金メダル、アレクサンドラ・トゥルソワが銀メダルを獲得している。同じくロシア勢である北京五輪4位のカミラ・ワリエワも参加しない世界選手権では、同3位の坂本花織や同5位の樋口新葉ら日本勢が優勝候補となる。特殊な状況での大会だが、日本代表の選手は持てる力を出し切ってほしい。

 日本勢以外で注目される選手は、北京五輪6位のユ・ヨン(韓国)、同7位のアリサ・リウ(アメリカ)、同8位のルナ・ヘンドリックス(ベルギー)か。ユ・ヨンとリウはトリプルアクセルを持っており、高難度ジャンプを跳ばないヘンドリックスは質の高さで勝負するタイプのスケーターだ。

 11歳で韓国の国内選手権を制しているユ・ヨンは、2020年四大陸選手権2位、2020年ユースオリンピック優勝と順調にキャリアを積み重ねてきた。しかし昨季は調子を落とし、北京五輪代表に選ばれた今季も、1月の四大陸選手権では3人出場した韓国勢の中で最下位の6位とふるわなかった。しかし、北京五輪ではショート・フリーともに武器であるトリプルアクセルを回転不足ながら着氷させ、6位に入っている。伸びのあるスケーティングも魅力で、17歳の若さで重厚な曲を滑りこなす。世界選手権でトリプルアクセルをきれいに決められれば、表彰台を狙うこともできそうだ。

 リウは、14歳だった2019年、女子では初めてトリプルアクセルと4回転を一つのプログラムの中で成功させている。その後体型変化のためにジャンプが決まらず苦しんだ時期を乗り越え、北京五輪シーズンである今季までにトリプルアクセルをプログラムに戻してきた。今季の全米選手権でショートを滑った後に新型コロナウイルス陽性が判明しフリーを棄権したものの、実績が評価されて北京五輪代表入りを果たしている。16歳で迎えた北京五輪ではフリーでトリプルアクセルに挑戦し、重度の回転不足と判定されたものの着氷、アメリカ勢では最高となる7位に入った。笑顔で滑る溌溂とした姿が観る者も幸せにする、チャーミングなスケーターだ。

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ロシア勢が席捲する中で力を示したスケーター