この問題を解消する方法として、「歯冠長増大術」という治療があります。歯ぐきと骨を削り、もぐりこんでいた歯や歯の根を歯ぐきの上に出す外科的な処置です。ところが外科手術には抵抗がある患者さんが多く、このお話をしても、
「そこまでは望まないので」
と言われ、そのままコアを入れることになるケースが多いのです。
ある意味、歯科医師としては妥協しておこなう治療ですが、患者さんに無理強いするわけにもいきません。
もちろん、いずれの場合も、補綴物が取れやすい状態であることを説明しますが、完璧に治療をしたいという思いもあるだけに、こちらもつらいところです。
さて、次に補綴物が取れた場合、治療費がどうなるのかにも触れておきましょう。
保険診療か自費で作ったものかにかかわらず、入れて数日で取れてしまった場合、無償で治療をするのが基本です。このとき、取れた補綴物を持ってきてくれれば、すぐにつけ直すこともできます。
セラミックスなど自費で作る補綴物は保証期間を設けている歯科医院が多いです。保証内容は歯科医院によって異なりますが、当院の場合、セラミックスのかぶせものは3年以内に破損したり、取れたりした場合は無料。4年目からは患者さん側が4割負担、5年目は5割、と段階的に負担をいただき、10年からはゼロ(つまり保証期間が終了)となっています(ただし、むし歯や歯周病にならないように、定期的に来ていただき、メインテナンスを受けることが保証の前提になっています)。
補綴物を作るときはこうした保証期間のことも含め、「どれくらい、もつのでしょうか?」「取れたり、破損したりしたらどうすればいいのでしょうか?」と聞いておくことをおすすめします。