モスクワの赤の広場で行われた対ドイツ戦勝75周年を祝う軍事パレードで披露されたロシアの核ミサイル/2020年6月(写真:gettyimages)

 核兵器の使用や威嚇を禁止する核兵器禁止条約の第1回締約国会議が近くウィーンで開かれる予定だ。核不拡散条約(NPT)下の米ロ英仏中の5核保有国や米国の「核の傘」に安全保障を委ねるとされるNATO諸国と同様、日本政府も核禁条約に背を向けてきたが、岸田首相は「核兵器のない世界に向けての出口にあたる重要な条約」だと評価している。NATOの一角でありながら条約締約国会議へのオブザーバー参加を決めたドイツやノルウェーとともに、日本の動向が注目されている。

田井中雅人(たいなか・まさと)/この記事に関連したオンライン講座「核なき安全保障は可能か「核の傘」と核兵器禁止条約」が4月9日(土)午後3時半から開催されます。教室での受講も可能です。詳細、申し込みは朝日カルチャーセンター 横浜教室のホームページ(http://www.asahiculture.jp/course/yokohama/af20b5a6-da07-59a4-deb6-61fca8aa829d)へ

 ロシアであれ米国であれ北朝鮮であれ、「核のボタン」を握るリーダーの一存で、世界が存亡の危機にさらされるリスクがあらわになった。被爆国日本のリーダーと市民社会が「核なき安全保障」実現に向けた意志と構想力を世界に示す時だろう。(朝日新聞記者・田井中雅人)

AERA 2022年3月28日号より抜粋

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