週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2022』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、病院から得た回答結果をもとに、手術数の多い病院をランキングにして掲載している。また、実際の患者を想定し、その患者がたどる治療選択について、専門の医師に取材してどのような基準で判断をしていくのか解説記事を掲載している。ここでは、「心筋焼灼」の解説を紹介する。
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脈のリズムや速さに異常が生じる不整脈。加齢に伴って誰にでも起こりうる身近な症状だ。動悸や息切れなどの自覚症状がある人もいれば、無症状のまま健康診断で見つかる人もいる。
放置してもからだへの悪影響がない場合も多いが、なかには命に関わる重篤なタイプや、他の重篤な病気のリスクになるタイプもある。こうした不整脈の種類によって、治療の必要性や治療方法の選択は異なる。不整脈の治療には薬物治療のほか、心筋焼灼術(しんきんしょうしゃくじゅつ、カテーテルアブレーション)、ペースメーカー治療などがある。
不整脈は心臓の拍動をコントロールする電気信号に、何らかの異常が発生することで起こる。カテーテルアブレーションは、異常な電気信号を発している部分の心筋を焼灼し、電気信号が周囲に伝わらないようにする治療だ。さまざまなタイプの不整脈を治療できるが、特に多く実施されるのが心房細動で、7割程度を占める。
■心房細動は放置することのリスクが大きい
心房細動は、心臓上部にある心房の拍動数が1分間で300回以上になり、心臓が速く不規則に拍動する。年齢が上がるにつれて発生率が高くなり、患者数は100万人を超えると推計されている。
心房細動は、放置すると心臓の中に血栓ができやすくなり、それが脳に流れると脳梗塞を引き起こし、死亡または重篤な後遺症をまねくことがある。また、長年放置すると心臓のポンプ機能が低下し、心不全を引き起こすこともある。早期にカテーテルアブレーションで治療すると、脳梗塞や心不全の発生を防げることがわかってきている。