カテーテルアブレーションで使用する機器は大きく分けて2種類ある。心筋を点状に高周波で加熱する「高周波アブレーション」とカテーテルの先端についた風船を心筋に密着させて治療する「バルーンアブレーション」だ。バルーンはさらにクライオ(冷凍)、ホット(温熱)、レーザーの3種類があり、クライオは2014年、ホットは16年、レーザーは18年に保険適用となっている。
バルーンは従来の高周波に比べて手技が簡便で、手術時間が短い。素材がやわらかく、心臓を傷つけるリスクも少ない。ただし、原則は肺静脈を中心とした治療となる。群馬県立心臓血管センターの中村紘規医師はこう話す。
「肺静脈とその周囲の形状は人それぞれ。バルーンにフィットする形ならメリットを得やすいのですが、そうでなければ時間がかかったり、追加で高周波での治療が必要になったりすることもあります。事前の検査でフィットするかどうかを判断して、機器を選択することが大切です」
■治療部位を3次元で可視化。高周波の機器も進歩
心房細動は持続期間が長くなるほど、治療部位が複雑になり、複数回の治療が必要になることもある。
「高周波の機器も現在3種類が使用でき、安全性が向上するなど、進化しています。術中の様子をナビゲーションするマッピングシステムが備わっているので、不整脈の原因がどこにあるのかを術中に3次元で可視化できます。カテーテルアブレーションを多く実施している病院は、高周波やバルーンの種類をそろえやすく、患者に合わせて最適な選択ができる可能性は高いと思います」(中村医師)
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「手術数でわかるいい病院」https://dot.asahi.com/goodhospital/
【取材した医師】
群馬県立心臓血管センター 循環器内科第二部長 中村紘規 医師
神戸市立医療センター 中央市民病院 循環器内科医長 小堀敦志 医師
(文/中寺暁子)