■安全性や治療効果が上がり、より早期に選択する場合も
不整脈の原因となる心臓の不規則な電気信号を止め、正常なリズムを取り戻す心筋焼灼術は、主に脚の付け根から、先端に電極がついたカテーテルを挿入し、心筋の表面を加熱したり冷却したりして不規則な電気信号を発している心筋を焼く治療だ。
心筋焼灼術によって心房細動、心房粗動、発作性上室性頻拍、心室頻拍、心室期外収縮など、さまざまな不整脈を治療できる。特に多く実施されている心房細動は、放置すると将来、脳梗塞や心不全を発症する可能性がある。
正常な心臓のリズムは安静時では1分間60~100回の拍動だが、心房細動になると心房は1分間に300回以上ふるえ、心臓全体も速く不規則に拍動する。進行するほど発作の持続期間が長くなる。発作が7日以内であれば「発作性」、それを超える場合は「持続性」、さらに1年以上続く場合は「長期持続性」と分類される。
■アブレーションが進歩し、治療の第1選択に
発作の持続期間が短い初期ほど、カテーテルアブレーションの根治率は高く、発作性の場合、8割程度は根治できる。神戸市立医療センター中央市民病院の小堀敦志医師はこう話す。
「従来はまず薬物療法をして、効果がなければカテーテルアブレーションを検討するのが基本でした。しかし最近はカテーテルアブレーションの安全性や治療成績が向上し、最初から選択するケースも増えています。国際的な研究では薬物治療で様子を見るよりも、早い段階でカテーテルアブレーションをするほうが、効果が高いというデータも出ています」
特に動悸、息切れ、めまいといった不整脈による症状がある人は、カテーテルアブレーションによって症状が改善されるので、患者自身がメリットを感じやすい。とはいえ、心房細動の半数ほどは無症状で、そのまま進行していく。
「無症状といっても、実感していないだけで、治療後に調子がよくなったと感じる人は、珍しくありません」(小堀医師)