前述したBA.2の影響も含め、今年の4月も感染者が急増する恐れが高まるが、政府は3月21日で「まん延防止等重点措置」を全面解除した。
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会で会長を務める尾身茂氏は、朝日新聞のインタビューの中で、重症化するのは高齢者や基礎疾患がある人であること、感染者の多くが軽症であること、ワクチン接種率の上昇の3点を解除の理由として挙げつつ、懸念も漏らしている。
「重点措置を解除したからといって、『万歳』というわけにはまだいかない」
実際に海外では規制を撤廃し、「ウィズコロナ」を進めた結果、感染者が大幅に増えた国がある。
韓国では昨年11月に、ワクチンの2回目接種を済ませた人が7割を超えた時点で、行動制限を大幅に緩和した。だが翌月に感染者数は急増し、わずか1カ月半でウィズコロナを撤回する。それでも感染拡大を抑えることはできず、3月16日には1日の感染者数が過去最多の約62万人となった。
同様に、2月24日にコロナ対策の制限を全廃したイギリスでも3月に感染者が増え、16人に1人がコロナに感染したとBBC(英国放送協会)は伝えている。
では、「魔の4月」をどう過ごせばいいのか。宮坂医師はこう呼びかける。
「今後は、私たち個人個人がどう対応するか、というところが問題です。政府もメッセージを出していますけど、してはいけないということばかり言うから、それだと人々は聞きにくいです。何のインセンティブも感じられないわけですから。これはリスクコミュニケーションの問題で『ここからは皆さんの良識に任せる』『うまく行けばこういうことが期待できる』ということをちゃんと伝えないとダメなんです」
まだまだ油断できない日々が続きそうだ。(本誌・佐賀旭)
※週刊朝日 2022年4月15日号