シートを敷いての花見禁止などを呼びかける看板が立てられている東京都の上野公園
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 新型コロナの第6波が徐々に収まり、まん延防止等重点措置も解除されたが、3月末には再び感染拡大の傾向に。オミクロン株の「BA.1」より感染力が強いという「BA.2」への置き換わりも進んでいる。最前線を取材した。

【写真】ワクチンの追加接種をする尾身茂氏

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「もう第7波が始まっている感じです。もっと減ると思っていたんですけど、多いですね」

 そう話すのはナビタスクリニック川崎の谷本哲也医師だ。

 第6波の感染者数が下げ止まりの様相を見せているなか、3月26日から4月1日までの東京都の感染者数の合計は、前週の合計と比べ1万人近く増えるなど、リバウンドを指摘する専門家も出始めてきた。

「熱が出て来院される方は若い人が多いですね。1回もワクチンを打っていないという人もかなりいます。若い方は『かかったとしても大したことない』という認識の人が多いのと、副反応が強いのであえて打たないという選択をされた方も結構います」(谷本医師)

 ワクチンの3回目の接種率は、65歳以上でようやく8割を超えたが、全体ではまだ4割程度だ。

 第6波の特徴としては、若者や子どもたちの間で感染が拡大してきた点だ。3月21日から27日の新規感染者数を年代別に見ると、約2万人のうち20代未満の割合が一番多く、約3割を占める。

 その理由について、聖マリアンナ医科大学の勝田友博准教授(小児科)はこう説明する。

「子どもで感染が拡大していることは確かですが、それは子どものせいだけではありません。成人はコロナにかかったことがある人が増え、ワクチンも大人優先で始まり、子どもも3回目の接種ができるようになりました。子どもへの対応はずっと後回しにされてきました。それが感染力の強いオミクロン株になって、子どもたちにも感染が拡大するようになってしまいました」

 オミクロン株について、大阪大学名誉教授の宮坂昌之医師はこう解説する。

「オミクロンは感染性が前のウイルスよりずっと上がっているだけでなく、免疫回避性という、免疫を逃れる力をもっています。免疫回避性とは二つの意味があります。一つは、前にコロナにかかっていてもその免疫があまり効かないということ、もう一つはワクチンが効きにくいということです。オミクロンにかかっても、ワクチン接種でも、できる免疫が限られています。そのため抗体をもっている人でもうまく防げない。だから追加接種が必要。第6波が下げ止まりなのは、このオミクロンの特性がすごく大きい」

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