05年夏の甲子園で歴代左腕最速の156キロを計時し、同年の高校生ドラフトで巨人から1巡目指名された大阪桐蔭・辻内崇伸も、プロ入り後は故障続きで、1度も1軍のマウンドに上がることなく、13年限りで引退。「160キロを出してみたい」の夢を叶えることはできなかった。
さらに11年のドラ1で“英明のランディ・ジョンソン”と呼ばれた190センチ左腕・松本竜也も、14年のイースタン開幕戦、西武戦で開幕投手を務めるなど、将来を嘱望されたが、15年に野球賭博に関与していたことが明るみになり、1度も1軍登板のないまま、失格選手になった。
谷口から松本まで1990年代以降は、まさに高卒ドラ1投手育成失敗の歴史と言えるだろう。
そんな負の連鎖に終止符を打つ可能性を秘めているのが、今季が実質プロ1年目となる堀田。原辰徳監督も「非常に目立つ存在になってきている」と熱い視線を送っており、高卒ドラ1組では、桑田以来となるエースの座を掴むことができるか注目される。(文・久保田龍雄)
●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2021」(野球文明叢書)。