そもそも現在の制度では選手側が希望球団を選ぶことができず、支配下選手の70人枠もあることから地元の有望選手を漏れなく獲得することは不可能である。日本球界のエースへと成長した山本由伸(都城→2017年オリックス4位)も宮崎の高校出身だが、地元九州のソフトバンクは獲り逃がしている。それを考えるとそもそも地元偏重のドラフト戦略の有効性はあまり感じられない。ここ数年は根尾、石川、高橋と好素材が続いたが、無理に地元の選手を優先するよりも能力と将来性を単純に評価することが重要ではないだろうか。過去の中日のスターを見ても、立浪監督を筆頭に地元出身以外の選手は多い。強い中日復活のためにも、今一度ドラフト戦略を見直す必要はありそうだ。(文・西尾典文)
●プロフィール
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員