この年も中日は2位で地元出身の浜田一夫(愛知高)を指名しているが、6年の在籍で1勝もあげることはできなかった。工藤はプロ入り拒否の姿勢を見せていたところを西武が強行指名したという事情はあるものの、1年で2人もの地元エースを逃す結果となっている。

 1990年代の代表例と言えばやはり鈴木一朗(イチロー・愛工大名電→1991年オリックス4位)になるだろう。本人も中日ファンだったが、当時のチームは外野手が補強ポイントではなかったことから指名を見送り、オリックスが4位で指名。プロ入り後の活躍は改めて述べるまでもないだろう。槙原や工藤に比べると他球団からの評価が高くなく、ここまでの選手になるとは指名したオリックスも思っていなかったことは確かだが、やはり地元の中日にとっては痛恨のドラフトと言えるだろう。

 近年の代表例と言えるのが千賀滉大(蒲郡→ソフトバンク2010年育成4位)だ。千賀の所属していた蒲郡高校は県内でも決して強豪ではなく、3年夏の愛知大会でも3回戦で敗れている。育成4位という順位からも分かるように当時は支配下で指名するようなレベルの投手ではなかったが、高校時代の映像を見ても現在のピッチングに通じる雰囲気はあり、潜在能力の高さがあったことは確かだろう。地元選手にこだわるのであれば、千賀のような隠れた素材を掘り起こすことこそが重要なはずである。

 千賀以降も則本昂大(三重中京大→2012年楽天2位)、高木勇人(三菱重工名古屋→2014年巨人3位)、西川龍馬(王子→2015年広島5位)、床田寛樹(中部学院大→2016年広島3位)、中尾輝(名古屋経済大→2016年ヤクルト4位)、源田壮亮(トヨタ自動車→2016年西武3位)、立野和明(東海理化→2019年日本ハム2位)、栗林良吏(トヨタ自動車→2020年広島1位)などが中日の地元チームから他球団に指名されて主力となっている。

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中日の復活に必要なのはドラフト戦略の見直し?