――すべて外国製ですが、国産化はしないのでしょうか? 

実は自衛隊向けに富士重工業(現スバル)が「FFOS」というドローンを開発して2004年に初飛行を行っています。世界的に見てもかなり早い。ところが、いまのドローンでは考えられないですが、これを運用するためにいくつもの車両や多くの人員が必要になるほど大きなシステムだった。これを改造し、さらに偵察用に特化した「FFRS」を作りましたが、画像のリアルタイム伝送やそもそもの運用に関して、あまりうまくいっていない……。そうしているうちに、外国製の優秀なドローンが入手できるようになり、それを導入することになったわけです。

――自衛隊はドローンをどのように運用しているのでしょうか? 

例えば、自衛隊ではA、Bのチームに分かれて実際の戦闘を想定した演習を行います。そのとき、敵の動きを察知したら、ドローンを飛ばします。送られてきた画像情報は部隊指揮所に設置されたモニターにリアルタイムで映し出されることが多いですね。それを静止画像として切り出して、前線部隊に送信したり、文書などで伝えたりする。

――逆に、敵のドローンを防ぐ対策についてはどうでしょうか? 

まさにいま、自衛隊はそれを始めたところで、敵のドローンをジャミングして無力化したり、味方のドローンを守ったりする電子作戦隊を今年3月に立ち上げたところです。同隊の指揮下には、2個部隊が編成されており、その一つが南西諸島方面を担当する西部方面隊(本県)に配備されました。今後さらに増強していく計画です。ドローンだけでなく、ミサイルも無力化できるようになってくるので、注目すべき変化だと思っています。

――中国はドローン大国ですが、それについてはどうでしょうか。 

すでに中国は尖閣諸島の偵察にドローンを活用しています。いま、海上自衛隊はまったく新しい「もがみ型護衛艦」を建造し、今年3月に1番艦が完成しました。この船は当初からドローンを運用することをコンセプトにしています。ドローンは費用対効果が高いのでヘリコプターよりも飛ばしやすいですし、機種によっては滞空時間も非常に長い。まだ、どのドローンを搭載するかは発表されていませんが、尖閣諸島防衛にも活躍すると思われます。

(構成/AERA dot.編集部・米倉昭仁)