大学を何で評価するか。洋の東西を問わず、難しいテーマだ。知名度や偏差値だけでなく、地味ながらも質の高い教育で学生たちの信頼を勝ち得ている大学もあるだろう。「世界基準」のランキングから、日本の大学の魅力を探ってみよう。
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大学の評価にはさまざまな指標がある。多くの人にとってなじみ深いのは、各予備校や塾が模試の結果などから算出する大学入試偏差値だろう。
だが、入試偏差値の高さ=大学の研究力とは一概には言えない部分がある。逆に、偏差値が低くても、研究力や学生の教育に定評のある大学も少なからず存在する。
そこで、世界中の各機関がさまざまな面から大学を評価し、ランキング付けをしている。その一つが、イギリスの新聞「タイムズ」から派生した教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」(THE)が2004年から発表している「THE世界大学ランキング」だ。
報道機関の強みを生かし、論文引用数だけでなく、学生の就職先企業や高校の教員など、関係者のヒアリングによって評価しているのが特徴だ。04年に初めて登場した際、東大の順位が世界14位にとどまり話題を集めた。
THEはその後、アメリカ版やアジア版などの地域の特性に合わせたランキングも出している。世界版には登場しない各地域の大学にも焦点を当てるのが狙いだ。
日本でも16年、THEとベネッセグループが業務提携し、17年から「THE世界大学ランキング日本版」を発表している。現在、THEが国別のランキングを公表しているのはアメリカと日本だけという。
今年の日本版ランキングは、1位が東北大、2位東大、3位が大阪大と東工大という並びになった。1位が東大ではなく東北大であることに、目を疑った読者もいるかもしれない。また、論文引用数などでは東大を抜いて国内1位になることも珍しくない京大が、5位につけていることにも驚くかもしれない。
実は東北大は、この日本版ランキングで3年続けて1位に輝いている。ベネッセグループのランキング担当者はこう説明する。